KJ-600 (航空機)
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KJ-600(中国語: 空警600)は、西安飛機工業公司が開発したターボプロップ機。航空母艦に搭載するための早期警戒機として開発されている。
設計
[編集]西安飛機第903研究所では、航空母艦上での運用を想定した早期警戒機として、同社のY-7輸送機を改装してJZY-01を製作し、2005年から試験に供して、模擬離着艦などを実施した[1]。その試験結果を踏まえた実用機として開発されたのがKJ-600であり、2020年8月に初飛行し、2024年頃の実用化が予測されている[1]。
Y-7と同じくターボプロップエンジンを双発に配しており、その機種はY-7と同じ渦槳5Eあるいは渦槳6Cといわれているが、プロペラは、完全に新しい偃月形5枚ブレードの新型のものになった[2]。Y-7は全幅が29.2メートルもあることから、KJ-600では艦上運用に対応して主翼を折りたためるようにしており、エンジン取付部の外側に折りたたみ位置を設けて後方に曲げ、また後方胴体に沿って密着させるようなスタイルとなっている[2]。また尾翼の設計は完全に変更され、後方胴体のほぼ最後部上面に水平安定板を載せ、その両端とそれらと胴体の間に計4枚の小さな垂直安定板を立てた形状となった[2]。これらはいずれもアメリカ合衆国のE-2に範を取った手法であり、早期警戒レーダーのアクティブ・フェーズドアレイ・アンテナを収容したロートドームを機体背側に搭載した点とあわせて、機体の外見からはY-7の印象は薄くなっており、むしろE-2に近いものとなった[2]。
本機は、CATOBAR方式の「福建」での運用が予定されているほか、STOBAR方式の「遼寧」「山東」でも、ロケット・ブースターを使って加速させることで発艦させる方法が検討されている[2]。
諸元・性能
[編集]諸元
- 全長: 18.14 m (59 ft 6 in)
- 全高: 5.72 m (18 ft 9 in)
- 翼幅: 25 m (82 ft)
- 空虚重量: 25,401 kg (56,000 lb)
- 最大離陸重量: 30,481 kg (67,200 lb)
- 動力: 渦槳5Eあるいは渦槳6C ターボプロップエンジン、3,805 kW (5,103 hp) × 2
性能
- 最大速度: 693 km/h (431 mph, 374 kn)
- フェリー飛行時航続距離: 2,800 km (1,700 mi, 1,500 nmi)
- 航続距離: 1,250 km (780 mi, 670 nmi)
- 実用上昇限度: 15,000 m (50,000 ft)
脚注
[編集]出典
[編集]参考文献
[編集]- 青木謙知「中国海洋進出の先鋒、空母体制の拡充を最新空母「福建」の進水と新型艦載機の動向にみる」『航空ファン』第72巻、第1号、文林堂、62-68頁、2023年1月。CRID 1520857357554155136。
- 石川潤一「空中早期警戒管制機のいま」『航空ファン』第72巻、第7号、文林堂、50-57頁、2023年7月。CRID 1520296666078947840。
関連文献
[編集]- Joe, Rick (September 29, 2020), “003 and More: An Update on China’s Aircraft Carriers”, The Diplomat (Diplomat Media Inc.)
- Mizokami, Kyle (Aug 31, 2020), “China's New Plane Sure Looks Like an American Hawkeye Knockoff”, Popular Mechanics (Hearst Magazine Media, Inc.)
- Sutton, H.I. (September 13, 2020), “China’s New Carrier Early-Warning Plane Is More Than A Hawkeye Clone”, Forbes (Forbes Media LLC.)